鉄血のオルフェンズで、無残に死んでしまったラフタの死に少しでも意味があるよう、死んでもある意味ハッピーエンドを迎えられるようにするSSの第4話です。
興味があったら是非読んで下さい!
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4話
悪魔「は? なんだよ」
「俺はこう見えても忙しいんだ」
「魂の奪える見込みが無い奴にもう用は無い」
ラフタ「無くは無いよ」
悪魔「は?」
ラフタ「あたし、あんたと契約する」
悪魔「なん…だと?」
「だってさっきお前、死ぬ気は無いって…」
ラフタ「ああ、ふりよ」
悪魔「ふり?」
ラフタ「うん、ふり」
「だってあの死神、昭弘に憑いてるんでしょう?」
「もしも私が身代わりになるって言ったら、あいつ昭弘に言いそうじゃない?」
「そうなったら昭弘あいつさあ、責任感強いから重しになっちゃうでしょ?」
「どうせ身代わりになるなら~そう言うの背負わせたくないのよねアタシ」
悪魔「フーン…でも何でそこまで…」
「…」
ラフタ「何?」
悪魔「いや…何でもない」
ラフタ「ふーん、そっ…」
「じゃあ、まあ───アタシ昭弘の身代わりになるから契約してよ」
悪魔「軽いなおまえ;」
「でも契約は受けられないぜ? 言ったろ? 魂が奪える可能性の無い契約は結ばない」
ラフタ「あーその点は安心して」
悪魔「え?」
ラフタ「昭弘の身代わりになる以外の願いは要らない、あんたに残りはあげる、好きに使っていいよ」
「それなら三つ願いを叶えた事になるでしょう?」
悪魔「それは…まあそうだが」
ラフタ「どう、それで契約してくれるの?」
悪魔「お前がそれで良いなら俺は構わないけど」
ラフタ「OK契約成立よ、じゃあさっそく昭弘が助かるようにして」
悪魔「分かった。じゃあ願いを叶えるから覚悟を決めるんだな」
ラフタ「うん…」
(あーあーこれで私の人生終わりかー)
(アジーに悪い事しちゃうかな…でもアタシ…)
悪魔「終わったぞ」
ラフタ「え?」
悪魔「終わったって言ったんだ」
ラフタ「終わったって…アタシまだ生きてるけど?」
悪魔「身代わりは、死の予定に割り込ませるから、その対象が死ぬ時間と同じ時刻に死ななきゃいけない」
「つまりその時が来るまではまだ生きてられるって訳だ」
ラフタ「は? 何よそれ、嫌よそんなの」
「覚悟は決めるのだって大変なんだからスパっとやってよ!」
悪魔「スパっとって…ノリが軽いな…;」
「残された時間くらい大切にした方が良いと思うが…」
「まあとにかく、死の予定に割り込ませる身代わり自体、神様に背く大変な事なんだ」
「大変な事はちゃんと手順を踏まなきゃ先には進めない。お役所仕事のようにね」
「何かのハンコが抜けてたら書類は通らない、これもそう言う事さ」
ラフタ「何よそれ…めんどくさいわねぇ」
悪魔「仕方ないそう言うルールだ…まあ死ぬまでの間、残りの願いはお前の物だ」
「死ぬ前に、残り二つの願いを決めるのも良いんじゃないか?」
ラフタ(残り二つ…)
ラフタ(いらないわよそんなの…私はただ───)
***ラフタ自室***
ラフタ「…コク」
悪魔「ふーん酒も飲むんだな」
「酒が好きなら、残りの願いでお前が手も出せないような高級な酒でも飲んだらどうだ?」
ラフタ「別に酒はそんな好きじゃないわよ…ただもうすぐ死ぬんだから、飲まなきゃやってられないってそれだけよ」
悪魔「何だそれは、死ぬのは覚悟したんじゃないのか?」
ラフタ「死にたい人間なんている訳ないでしょ」
悪魔「??? お前言ってる事が変だぞ…死ぬのが分かってて、俺と契約したんだろ?」
ラフタ「…それはそれ、これはよ」
悪魔「はあ?」
ラフタ「それよりあんただって変な所があるじゃない」
悪魔「俺が? なんだよ」
ラフタ「だって願いはあんたにあげるって話で、魂を奪える事が確定してるのに」
「何でわざわざ願いを使わせようとするのよ」
悪魔「何でって、特に意味は無いけど」
ラフタ「意味が無い訳ないでしょ。良いじゃないどうせ魂は奪えるだから言っても」
悪魔「だから本当になにもないさ、単に願いを使わないなんて勿体無いなて思っただけさ」
ラフタ「なんで勿体無く思うのよ…ヒック」
悪魔「しつこいな…お前…酔ってるのか?」
ラフタ「酔ってないわよっ!」
悪魔「ひっ!」
ラフタ「もー素直に言わないんなら、お姉さんが言えるようにしてあげようか?」
悪魔「は?」
ラフタ「二つ目の願いを使うわ、何でアタシに願いを使わせたいか言いなさい!」
悪魔「え? お、おい、そんな事に願いを使っていいのか?」
ラフタ「…良いって言ってるでしょ~ほらはやくぅ~♪」
悪魔「やれやれ…分かったよ、じゃあ二つ目の願いだ」
ラフタ「うん」
悪魔「魂を奪えるのに、残りの願いを使わせたいのは、まあ悪魔の誇り見たいなもんかな」
ラフタ「誇り?」
悪魔「ああ、まあ魂は奪えるから正直に言うけど」
「俺は確かに人間の魂は奪うさ、でもその分与える三つの願いは、願った事に対し、絶対に満足出来るようにしている」
「今回は幸か不幸か、願いは一個だけで良いって言うから、何だか拍子抜けしちまってな」
「だからついつい聞いちまうのさ? 何か願いは無いか? ってな」
ラフタ「ふーん…コク」
悪魔「まあ別にそこまで拘っちゃいない話だけど」
ラフタ「…」
悪魔「…」
「なあ?」
ラフタ「何?」
悪魔「じゃあ俺も聞くけど、何でお前はあの男の身代わりになる事を選んだ」
ラフタ「は?」
悪魔「お前にとってあの男は命をかけるほど特別なのかも知れないけど」
「だけどお前には、残していけないタービンズの仲間がいるだろう?」
「なのになんで決められた?」
ラフタ「…そんな事興味あるの?」
悪魔「願いを自己犠牲に使うケースは稀だからな」
「俺はこれからも人の心を誘惑して魂を奪っていく」
「その時に、そう言うケースの人間に出会ったらどう心を操ればいいか参考にしたいのさ」
ラフタ「参考ね…うーん、まあいいわよ、教えてあげる」
ラフタ「もう誰かが死ぬのを見るのが嫌だからよ」
悪魔「誰かが死ぬのを?」
「そのためにお前が死んでも?」
ラフタ「そうよ」
「…ダーリンが死んで相当落ち込んでたけど、私は大丈夫だ、これからも頑張って行けるって思ってたけど」
「けど違った───」
「昭弘死ぬって聞いてはっきり分かったの」
「アタシはもう誰かが死ぬのに耐えられない…大切な人ほどもう耐えられなくなってるのよ」
「だから、それなら…いっそアタシが…」
悪魔「…」
ラフタ「……って訳よ。コク」
悪魔「自分が耐え切れないからね…まあ何と無く分かったよ」
(自暴自棄ってやつか? まあ何にせよ死にたがる人間ってのはいつ見ても理解しがたい物があるな)
ラフタ「これで残り二つだね?」
悪魔「は?」
ラフタ「だってあんたのお願い聞いてあげたでしょ、これで残り二つ」
「三つ願い聞いてあげたら、アタシがあんたの魂貰うから覚えておいてよね!」
悪魔「なんだそりゃ…;」
ラフタ「あはははは!」
悪魔(変な女だな…;)
続く。
~次回