機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズで、悲しく死んでしまったラフタが報われる話にしたいSS第5話です。
死神に憑かれた昭弘を、身代わりで助けるために命を差し出そうとしているラフタ。
その続きの話からになります。
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5話
***マグナード邸前***
エーコ「マグナードさんまじで良い人だったね~」
ラフタ「うん、ダーリンも信頼を置いていた訳だよね」
(さてと…これで残されたタービンズのみんなはこれでもう大丈夫だよね)
(これで…いつ死んでも大丈夫…)
「ふう…」
アジー「…?」
ラフタ(ごめんねアジー、エーコ…あんたたちには色々と辛い事残して行っちゃうと思うけど)
(アタシはそれでも昭弘の事を…)
アジー「…なあラフタ?」
ラフタ「え?」
アジー「あんたは行ってもいいんだよ」
ラフタ「行くってどこへ?」
アジー「鉄華団にさ」
ラフタ「…は?」
「え? なんでそこで鉄華団の話が出るの?」
アジー「お前の気持ちはみんなが知ってる」
ラフタ「き、気持ちって…ほんとなんの…」
アジー「自分の気持ちに素直になっていいんだ」
ラフタ「え?」
アジー「姐さんもそれを望んでた」
「本当に愛せる男が出来たなら、一緒になって幸せなって欲しいって…」
ラフタ「姐さんが…」
アジー「鉄華団にはいるんだろう? その本当に愛せる男がさ…」
ラフタ「でもアタシ…」
(どうせもう死ぬのに…昭弘にそんな事を言えないよ…)
エーコ「まあ考えて見なよ」
ラフタ「え? う、うん」
アジー「じゃああたしらは先に帰ってるよ」
エーコ「じゃねー」
ラフタ「あ、アジー、エーコ…」
「…」
悪魔「あいつら何にも分かってないな…」
ラフタ「止めてよそう言う言い方」
悪魔「だってさ…」
ラフタ「止めてって!」
悪魔「うへ、分かったよ」
ラフタ「…」
悪魔「…」
ラフタ「ねえ?」
悪魔「何だよ?」
ラフタ「アタシ死ぬ前に昭弘に言った方が良いかな?」
悪魔「言うって何を」
ラフタ「馬鹿っ! 察しなさいよそれくれい!」
悪魔「…告白したいのか?」
ラフタ「…!」バキ!
悪魔「いたっ! 何だよお前が言えって言ったんだろ!?」
ラフタ「…で、どうなのよ?///」
悪魔「はあ? なんで悪魔の俺がそんな事を…」
ラフタ「むー…」
悪魔「わ、分かったよ、ど、どうせ死ぬんだ、想いくらい伝えた方が良いんじゃないのか?」
ラフタ「そ、そう? でも言ったら昭弘辛くならないかな?」
悪魔「そりゃ辛いだろ、まあ向こうが好きじゃなかったら、そんなでも無いかも知れないがな」
ラフタ「…!」バキ!
悪魔「いて! ちゃんと言ったのに何で殴るんだよ!」
ラフタ「ふん!」
悪魔「いてて」
ラフタ「…でも、そうよねやっぱり」
「昭弘がアタシの事そんな風に想ってくれてる訳ないよね…」
悪魔「知らないよ…そんな事;」
ラフタ「…」ギロ
悪魔「ひっ(殴られる)」
ラフタ「…」プイ。
悪魔「ん?」
ラフタ「アタシ…やっぱり昭弘に会いに行くの止める…」
悪魔「何でだよ…好きなんだろ?」
「最後に酒くらい一緒に飲めばいいじゃないか」
ラフタ「…」
悪魔「ん? どうした」
ラフタ「…がって」
悪魔「はあ?」
ラフタ「ねが…って」
悪魔「何?」
ラフタ「…じゃあアタシに願ってよ、昭弘と一緒にお酒を飲みなさいって!」
悪魔「え? えと…え? 何?;」
ラフタ「だから二つ目のお願いよ!」
悪魔「二つ目の願いって…」
ラフタ「アタシがあんたに叶えてあげる三つ願いの二つ目よ」
悪魔「あー…昨日のノリね」
「つまり…俺がお前に昭弘に酒を飲みに行けとお願いしろと?」
ラフタ「…///」コクン。
悪魔「何で…別に行きたいなら、自分の意思で行けばいいだろ、俺は止めない…」
ラフタ「良いから言って…!」
悪魔「ひっ!」
ラフタ「言ってっ!!!」
悪魔「分かったっ! 分かったよ…」
「お前はあの男と酒を飲みに行け」
「これ良いのか?」
ラフタ「それはお願い?」
悪魔「は?」
ラフタ「どうなの!?」
悪魔「お、お願いだよ、お願い!」
ラフタ「そう…じゃあ行くしかないわよね」
「私はあんたに三つ願いごとを叶えなきゃいけないんだから…うんしょうがない」
悪魔「ふぃ~…(XoX;)」
「全く、こんな事をやる意味がどこにあるんだよ…」
ラフタ「あったわよ…十分にね)
「…勇気よ」
悪魔「は? 何?」
ラフタ「何でも無い行ってくる!」
悪魔「あ、ああ」
「…」
(本当に変な女だなぁ…)
***バー***
ラフタ「へ、へー昭弘ってこんな店知ってたんだ」
昭弘「ああ、前に皆と一緒に来てな」
ラフタ(ふふ…普通に知ってたって言えば良いのに不器用なんだから…)
(まあ…そこが昭弘の良い所でもあるけどね…)
(それにしても昭弘に憑いている死神はどこに行ったのかしら…)キョロキョロ。
昭弘「? どうした?」
ラフタ「あ、いや何でもないわよ…!」
昭弘「?」
ラフタ(流石に気を使って、 席外してるのかな…)
(それより昭弘のやつ…死神に言われて、今自分がもうすぐ死ぬって思っているのよね…)
(まあ私が身代わりしちゃうから、大丈夫だけど、でも今昭弘はどんな気持ちなのかな?)
(やっぱり辛いのかな? うん辛いよね)
(死ぬ事が分かってて、辛くない人間なんていないよね…)
(それなのに、そんな事を微塵にも出さないで、アタシとお酒を飲んでくれてる)
(やっぱり…昭弘は凄いな)
「ふふ」
昭弘「どうした…何がおかしいんだ?」
ラフタ「え? あ、いや…なんでも」
昭弘「そうか…」
ラフタ「…」
昭弘「…」
「…その…大丈夫か?」
ラフタ「え?」
昭弘「いや、そのアニキと姐さんの事とか…」
ラフタ「あ、えっと…」
昭弘「…」
ラフタ「うん…何かすっぽりと無くなった感じ…かな」
昭弘「無くなった?」
ラフタ「うん、あたし子供の頃、違法船で何も知らずに働かされててさ」
昭弘「…」
ラフタ「そんなアタシをダーリンと姐さんが拾ってくれてね。色々教えてくれたんだ」
「自分に出来る事とか、人の温かさとか」
「家族とか…」
「二人はそんな私って人間を作ってくれた───心見たいな物だから、それがいなくなっちゃうとね…」
昭弘「…そうか」
昭弘「…俺も鉄華団に入ってから、自分がどう言う人間だったかって知る事が出来たから」
昭弘「その…それを教えてくれた奴がいなくなる事を想像すると…」
ラフタ「…」
昭弘「ま、まあ、元気出せ」
ラフタ「…何よそれ、慰めてるの?」
昭弘「あ、ああ」
ラフタ「…ぷ、もう少し言い様って物があるでしょ~あはは、あんたは相変わらず…」
昭弘「わ、笑うな…悪かったな」
ラフタ「ううん悪くないよ。ありがとう元気出た!」
昭弘「…///」
ラフタ「…いや昭弘は凄いね…」
昭弘「俺が凄い? 凄くなんかないぞ」
ラフタ「ううん凄いよ、だって昭弘は筋肉バカで暑苦しくてぶっきらぼう」
昭弘「おい…;」
ラフタ「一見そんな感じにとっつきにくいけど」
「でも本当は誰よりも周りを見てて責任感が強くて…そして誰よりも優しい…」
「そんなあんただからアタシ…」
昭弘「…」
ラフタ(…そんなあんただから死んじゃいけない)
(だってあたしはその優しさで…あの時助けられて今生きてるんだから)
(だから今度はアタシが守ってあげるよ…死神から)ニコ。
昭弘「う…///」
ラフタ「ん~~~~~」ノビ。
昭弘「ん?」
ラフタ「さーて…じゃあそろそろ帰ろっか?」
昭弘「え? あ、ああ、分かった」
******
ラフタ「私はタービンズのみんなと残るよ」
「だから本当にさよならだね」
昭弘「…あ、ああそうだな」
ラフタ「…それじゃ、また」
昭弘「お、おう…」
ラフタ「じゃ…」
昭弘「…」
ラフタ「…」コツコツ。
昭弘「…あ、ま、待ってくれ!」
ラフタ「え?」クル。
昭弘「…俺はお前を尊敬する」
ラフタ「…!」
昭弘「筋を通し、大事な物をしっかり守る、お前のその真っ直ぐな生き方を」
「俺はお前のようにありたいと思っている」
ラフタ「…」
昭弘「だから…どんな事があってもお前は生きろよ」
ラフタ「昭弘…」
「ふ、ふふ…」
昭弘「…な、なんだ?///」
ラフタ「あ! そう言えば忘れてたぁ~!」
昭弘「? 何をだ?」
ラフタ「それはね」
「ぎゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」ダキッ。
昭弘「! ! !」
「お、お前…///」
ラフタ「何よハグくらい挨拶見たいなもんじゃないの」
「照れちゃって可愛いの!」
昭弘「お、お前///」
ラフタ「ふふ、あんたもしっかり生きなさいよ! じゃあね!」
昭弘「あ、おい」
「たくっ…」ニヤ。
ラフタ「ふふ」
悪魔「おい、このまま別れて良いのか?」
ラフタ「ん? あんたか」
「いーよ、ハグする約束は果たしたし、もう思い残す事はないわ」
悪魔「ふーん、あれだけあの男と飲みに行くのを悩んだ割には欲が無い事だな」
ラフタ「はあ? 何言ってるのよ! ハグがこの世で最高に良い事なのよ」
「だってこんなに暖かいんだから!」
悪魔「そうか、まあ悪魔の俺には良く分からない事だな」
ラフタ「そうじゃあ教えてあげよっか?」
悪魔「え?」
ラフタ「アタシが叶えてあげる最後の願いでアンタをハグしてあげる! どう?」
悪魔「…いらないよ;」
ラフタ「何よ…失礼な奴ね」ギロ。
悪魔「ひっ!」
ラフタ「…ぷ」
悪魔「ん?;」
「何がおかしいんだ?」
ラフタ「べっつに~」
悪魔「…;」
(変な女だ…)
(…本当に)
ラフタ「…」
続く
~次回